「ねぇ慎吾。」

「ん?」

「明日、帰る前に二人でここに来ない?」


さっきまでの笑顔とは変わって、少し哀しそうな表情。


そんな真琴を見ると、断る気になんてなれなくて、「いいよ」と笑っていた。



その返事を聞いてまた明るく笑う真琴。

胸の底からわき出てくる感情を制御しながら笑い返した。






にわかに司会に入ってきた美波と晃の二人の姿。

真琴から奥の海の方に視線をうつすと笑いあい、何かを喋りながら海へと入っていく二人の姿に目が離せなかった。


美波の笑顔が晃に向けられている。


貝殻を持つ手とは反対の手に力が入ってぎゅっと握りこぶしをつくった。



嫉妬している。

晃に。

美波の傍にいる晃に―――…




そんな俺の様子を真琴がただ微笑んで見ていたなんて気付かずに…