エリーゼは言うまでもなく怒っていた。

いや 怒り狂っていた。


夫でもない男に、ましてや自分を誘拐した男に寝顔を 二度も見られたせいもあるが、あの男の服を

あの男の 服 ふ…ふくっ!!


そんな物を抱きしめて寝ていた所を見られたかも知れない。そんなつもりなど毛頭無かったのに…

まるで私があの男の温もりを頼りに眠ったみたいじゃない!!


悔しさと、腹立たしさ。恥ずかしさと、憤りでエリーゼはじっとしている事ができず、気晴らし代わりに青いドレスを蹴り飛ばしながら連れて来られた城らしき場所の散策に出かけた。