―――…



俺は今、手術室の前にいる。




手術室の扉の上には、赤いランプが虚しく光っている。



「心愛…心愛……」




俺は呪文のようにずっとそうつぶやいていた。



ぱたぱた…



「優ちゃん!心愛は?!」


心愛の母さんがきた。




「今、中にいます…。」



「そうなの…。大丈夫かしら……っ」


心愛の母さんは、泣きそうな顔をしていた。



俺がしっかりしなきゃ。
そう、心から思った。




「大丈夫…心愛なら、大丈夫……笑って、戻ってきます。」


「……そうね…信じて待ちましょう。」



心愛の母さんは、少し目を潤ませて笑った。










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