廊下を歩いていると、目障りなオレンジ頭が視界に入った。

目を合わせないように、横を通り過ぎようとしたが……


咲「お、日向丁度良い所に!」

尊「……」スタスタ

咲「ちょ、待ちなさい日向!」

尊「あれ、先生いたんですか」

咲「……お前絶対わざとだろ。
 これ明日の授業で使うから、教室に運んどいてくれ」

そう言って渡されたのは……


尊「辞書……」

なんで俺がこんな面倒なことを……。


尊「嫌です、重いし」

咲「そう言うなよ。
 今度先生んちの団子サービスしてあげるから」

尊「わかりました、3秒で持って行きます」




咲「……(単純だな)」




――――――――………




スタスタ

スタスタ

……ピタ。


尊「む、両手が塞がって教室の扉が開けられない!」


団子につられて引き受けるんじゃなかった。

どうにか扉を開けようとするが、足だけではどうにもならない。


―――――奮闘すること数十秒。




?「えー、そんなこと言われても……」

聞き覚えのある声が、扉越しに耳に届いた。


尊(和佳奈?
 ……中に誰かといるのか?)

?「だから、好きなんだって!」

尊「!!!」


これはもしや……告白!?




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