ドラゴンが出そうな気がする

フェニックスは腰の剣の柄を握りしめる。

[来たぞ。上だ]

フェニックスの頭の中に懐の黒いリルスの玉の中の小人の声が聞こえた。

ジャキーン

フェニックスは剣を抜きはなち、上空を見上げる。

[ドラゴンは心臓、腹の次に首が弱い。その何れかに集中して狙え]

フェニックスはドラゴンから片時も眼を離さず、機会をうかがう。
ドラゴンが小麦畑に舞い降りて小麦を食べ始めた。

フェニックスは風下からドラゴンに近づき、剣が届く範囲に入ったと同時に、首に向かって剣を投げる。

ブサ!ドカ―ン

剣はドラゴンの首に深くささり、頭を下にして倒れた。

そこで下を向いて考え込んでいたテイシンが頭を上げた。

「生意気ドラゴンじゃないか!悪いやつじゃないんだぞ」

テイシンはドラゴンにかけより、首の剣を引き抜いた。

赤黒い血が流れる。

そして、ドラゴンは女の子の姿に変わった。

「人間?確かにドラゴンだったはずじゃ」

フェニックスは力が抜けてしまい、よろめいて膝をついた。