テイシンはパスコのそばにつかつかと近づいて襟首をつかんで引きよせた。

「てめぇこそなんでここにいるんだ?」

「なんでってテイシンが王宮に紹介してくれたんじゃないか?」

パスコは眼を白黒させる。

「ああ、そうだったな。それよりエル・ウォルカンだ」

テイシンは襟首を離して自分の赤茶けた短髪をかきむしる。

「え~と、赤道地帯にあるすごく高い山だったっけ?」

「そうだ、標高4000メートル級の前人未踏の山脈だ」

「それがどうしたんだ?まさかドラゴンがいるとか?」

「そのまさかだ。その地方から伝書バトでドラゴンの巣になっているからなんとかしてくれってきたんだ」

「テイシン行くのか?」

それまで黙っていたフェニックスが立ち上がって

「やるしかないわよ、男でしょ?私は一人でも行くわよ」

もちろん、おれは男だし、荷車引きにかけてはファンタジアいちだ。ガキが一人でも行くのに行かないわけはないだろ。おっ、なんかやる気でてきたぞ。


「もちろん、男の中の男テイシンさまが行かないわけはないだろ。行ってやろうじゃないか!」