テイシンが空いた席に座ると隣の小さなテーブルに座った衛兵が咳払いを一つして、木槌を叩く。テーブルの上には巻物があった。
「あと一人いますが、遅れてくると連絡があったので先に始めます」
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「……そして、王都の民テイシンとララミーの民フェニックス」
あの子といっしょか。やりずらいな。
と思いながらもテイシンはフェニックスの後に続いて他の戦士たちと同じようにドアの方に向う。その背中に
「音楽の民キリーラ、トム、ジギルと氷眠の民レイン」
と聞こえ、ドアから十歳くらいの黒髪に眼を包帯巻きにした少年が入ってきた。
ガキもいるのかい、ドラゴンと戦えるのか?
「人は見かけじゃないって知ってますか?」
すれ違いざまにテイシンにつぶやく。
生意気なガキだな。組まなくてよかった。
「テイシンさん、また遅刻ですか?」
回廊で振り向いたフェニックスがガラス玉のような眼でテイシンを見つめる。
こっちにもガキがいたんだ。
テイシンはニガムシをかみ締めてフェニックスに続いて別屋に入った。

