「テイシンとドラゴンさん、夜中に出かけたでしょ?どこに行ったの?」

ドタ!

「アチッ!」

テイシンは飲んでいたカップをひざの上に落としてしまう。

バサ~!

女の子が自分の飲んでいた水をその上にかける。

「冷たてぇじゃないか?」

「これでやけどにはならないでしょ?」

「それはそうだけど、やり方ってもんがあるだろ?」

「やけどにはすばやい処置が大事でしょ?」

テイシンと女の子はまた言いあいを始める。

フェニックスはあーとため息をついて

「喧嘩ばかりしてないで出発の準備をしましょう」

といって自分の荷を詰め始める。

「そうだった!俺がドラゴン討伐にいっている間に配達のライバルが現れちゃったら困るな」

テイシンは自分の荷をつめてそれをポイっと荷車に放った。

「おい、ドラゴン!約束どおり荷車を小さくしてくれ」

女の子はドラゴンの姿になるやいなや前足を伸ばして荷車を掴みそれを握りつぶした。

「握りつぶして小さくしろっていったないだろ?」

ドラゴンは地面に握りつぶしたかと思われたはずの荷車を置いた。それはテイシンのポケットに入るぐらいの大きさになっていた。

「ほっとしたよ!」

テイシンはそれを摘み上げて自分の上着のポケットに入れた。