『やめてください。離してください』

『いいじゃん』

あたしは、男につれていかれそうになる。

だめ。やだ。誰か助けて…。



『何してんだよ!!!』

気付いた時には、ナンパ男は、地面に倒れていた。

『いい年して、高校生ふりまわしてんじゃねぇよ!!』
ナンパ男は、逃げていった。

『大丈夫??』

誰?? 
あたしを助けてくれたのは…。

『立てる??』

…うそ。
目を疑った。

『黒川くん…』

あたしは、涙目になって、つぶやいた。

『もう、あんなのに絡まれんなよ』

信じられなかった。
あの黒川くんがあたしを助けてくれた…
夢でも見てるのかと思った。

『助けてくれてありがとう』

『うん。俺、黒川直人。君は??』

『…あたし、松嶋亜梨沙。』

『亜梨沙チャンか。可愛い名前だね。』

可愛い??
嘘でしょ??

『…』

『あっ、そうだ。なんか、相談とかあったら、連絡して』

そういって、あたしに一枚の紙を渡した。

そこには、黒川くんの携番とアドが書いてあった。


『…』

突然の出来事に言葉が出ない。

『じゃあね』

『うん。バイバイ。今日は、ホントにありがとう。』

ニコッと笑ってその王子様は、帰って行った。



なかなか信じられなかった。
あの、黒川くんがあたしを助けてくれるなんて… 

うれしすぎる…
ナンパ男にも感謝だ。
ありがとう。

長く感じた帰り道は、短くなった気がして、

胸が一杯で
おさえきれない…

ヤバイ…
幸せだぁ。


これがカレとの出会い。
でも、この出会いは…
波乱の学校生活のはじまりです。


高校一年、松嶋亜梨沙、
一生片想い…
卒業します!!