黒いスーツの王子様

希は完全に心を閉ざしている。

きっと彼氏の暴力のせいで、
人間が怖くなってんのかも‥


笑ってる時だって、

心から笑ってる
感じじゃなかった。




無理して‥
頑張って‥

笑ってる作り笑い。


そんなふうにしか‥
見えねェよ・・・






「――‥あの…」


――!

救急箱を片付け途中‥
希が俺に話し掛けてくる。





「‥ん?」

「携帯充電してもイイですか?」


「ああ、いいよ。
コンセントそこだから‥」



俺はテレビの下の
コンセントを指さす。

希はカバンから充電器を出し、
携帯を充電し始めた。


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