「ありゃ。救急車?・・・ってあれ?藍??あれってさぁ・・・あんたの組の車じゃない?」


「・・・・・・」


あたしは下唇を噛み締めて窓に付いてる手をぎゅって握り締めた。


あたしが見た黒塗りの車はお父さんの組のもの。


あたしのお父さんは『後藤組』の組長


世間で言う『暴力団』


簡単に言えば『ヤクザ』


そんな家に産まれ育ったあたし。


後藤 藍。ピッチピッチの16歳です☆


お母さんは私を産んですぐに死んじゃった。


お母さんの記憶は無いけど写真で見る限りすごく綺麗で優しそうな人だった。


お父さんも男。組員も男。


男ばっかの中で育ったあたしはそれほど男らしくも無く。


逆に乙女。ロマンチックな出来事に日々胸を弾ませて浮き足を立てて生活してた。


素敵な王子様なんか周りにいないけど・・・


素敵な・・・そして甘い恋を求めて幼馴染の亜由と毎日妄想中!


すべて空回りで終わる妄想だけど。


でもでも~~!!お父さんのせいでこんな事になるなんて!!


お父さんのばか!!


ばかばかばかばかばか~~~~!!!