kasiraな私

「ちんちくりんはちんちくりんだろ。しかし・・・組長の人望はすげぇな。バカさ加減は見習いたくねぇけど。お前の親父の男気には一同惚れてたからな。惜しいよな。そんな奴が死んじまうなんてな」


吹き出した煙草の煙を目で追いながら話す三枝弟。


「・・・うん。あたしお父さんが大好きだった。お父さんてね・・・」


あたしはお父さんとの楽しかった日々を思い出して沢山話した。


「ねっ!面白いでしょ?あたしのお父さんって!」


「あぁ。そうだな」


優しく頷いた三枝弟は3本目の煙草を地面に捨てて靴で踏み消してあたしの頭に手を置いた。


「笑えんじゃん。最後くらい笑顔で見送ってやれ」


そう言うとそのまま玄関に姿を消した。


そんな三枝弟の後姿を見送ってあたしは「最後くらい笑顔でか・・・」と呟いた。


地面に視線を下ろすと、あいつが捨てた煙草の吸殻が3つ潰されてて、


「ったく」


あたしはしゃがんでその吸殻を拾った。


「いたいた~~!!藍」


玄関先から走ってくる亜由の姿を見付け、


「ごめん。探してた?」


「探した!ってかぁ、何?あのイケメンは??」


鼻の穴を広げて興奮気味であたしに詰め寄る亜由。


「・・・さ、三枝の弟だって」


「うそぉ~~!!三枝さんに弟なんか居たの!!しかもあんなイケメン!兄弟で系統違いのイケメン!かぁ~~あんたが羨ましいよ!!」


「はははっ」


亜由のこのテンションにはあたしはついていけないっ。