kasiraな私

礼服に身を包んだ三枝弟の姿があたしの目の前に居た。


「お前の親父にとったら今日は最後の晴れ舞台だぞ?それをあんな、みっともねぇ泣き顔見せられて成仏出来るか?」


「う”っ・・・。だってぇ」


「だってもクソもねぇ」


今までお父さんと過ごした日を思い出したら涙が溢れてきちゃったんだもん。


それにお葬式で涙を見せない人の方がどうかとあたしは思うけど?


「これだからガキは困るんだよ」


「・・・ガキって」


三枝弟はポケットから煙草を取り出して口に銜えた。


「未成年は吸っちゃダメなんだよ?」


「はぁ?クソガキが!」


あたしを睨んでそう言った三枝弟はそのまま煙草に火を点けた。


「ガキって言うけどあたしと2つしか変わらないじゃん」


ちょっとビクつきながらあたしは反抗してやった。


「・・・お前16か?」


「そ、そうだけど」


煙草を銜えたままあたしの頭からつま先までジロジロ見るこいつ・・・


な、何よ!


「ってきり中坊だと思ってた。まぁ、ちんちくりんには変わんねぇな」


「ち、ちんちくりん?どういう意味よ!!」


そういえば、お父さんが死んじゃった日もこいつにそんな事言われたかも。