kasiraな私

それからあたしは家の中に入って、お父さんに会わずに部屋に篭った。


「お母さんに会えたかなぁ?」


机の上に置いてあるあたしのお母さんの写真。


その隣にはあたしとお父さんの写真。


お母さんとお父さんの写真を交互に見てあたしは溜め息をついた。


「はぁ~。これからどうしよ。あたしも後藤組も・・・どうなっちゃうのかなぁ?」


先が見えないまま、日が過ぎ・・・お父さんとお別れの日が来てしまった。


「藍?大丈夫?」


「・・・うん。なんとか」


亜由も葬式に来てくれて少しは気が晴れる。


すべての段取りは三枝がやってくれた。


あたしはただ・・・最後にお父さんへの手紙を読むだけ。


って言っても・・・これだけの人の前で緊張です。


お父さんには悪いけど悲しんでる暇が無いっていうくらい緊張で倒れそう。


「しかし・・・あんたの組ってこんなに人いたの?ビックリだわ!」


組員・・・すべて黒服に身を包み、葬式っていうか・・・危ない集まりみたいになってるあたしの家。


さすがに怖い。


殆どあたしの知らない人ばっかりで、こんな人達をまとめてたお父さんってやっぱり極道だったんだなって今更実感。


焼香も済み、長々とお坊さんのお経を聞いてたら、


「お嬢。そろそろ出番です」


と、三枝に呼ばれたあたし。


「頑張ってね」と何故か笑顔で送り出す亜由。


もう。代わってほしいよ。