kasiraな私

「中身は三枝のがお父さんより年上だよね」


「ははっ。そうかもしれませんね」


家までの車の中であたしはお父さんと三枝の若い頃の話を聞いてた。


お父さんと三枝は幼馴染。


小さい頃から一緒で、お父さんが極道になった時も勢いで三枝もこの世界に入ったんだって。


三枝って極道って感じじゃないんだよね。


雰囲気が優しいから。


でも、若頭を張ってるって事はそれなりの器量の持ち主って事だよね?


怒ってる姿見た事無いけど。


いつも怒ってるお父さんを必死で押さえ込む三枝の姿しか知らない。


組長のお父さんが死んじゃって、次期組長は若頭の三枝が柱になるって事かぁ。


って事は・・・あたしは組長の娘じゃなくなるって事?


嬉しい様な・・・寂しい様な・・・複雑だなぁ。


「お嬢。着きましたよ」


「はいっ」


あたしは車を降りて・・・家の門の前で立ちすくんだ。


いつもなら憂鬱な気分で潜る家の門。


門の中は組員で溢れてた。


「何これ?こんなに居たの?」


病院にも沢山いたけど・・・今はそれ以上、人が居た。