『聖夜の言葉…あたし覚えてんねん。知香はしんどい思いしてきた分人の痛みが分かる、だから苦しんでる人をほっとかれへん、そういう女って信じてるからって…』


『うん、ゆったな…』


『あたしさ、ほんまに聖夜…あんたが好き。聖夜だけいてくれたら他には何もいらん。あの子のことだって助けたいって思った。お父さんのことも許せた。何でかわかる?』


聖夜は黙ったまま首を横に振った。




『聖夜があたしを変えてくれてん。聖夜を好きになって色んな気持ちが増えた。いいことばっかりじゃなかったで。でもあたしは憎しみから抜け出せた』

『知香…』

『信じてるから。聖夜はあたしを幸せにしてくれるって…信じてるから』

『うん…』



聖夜は黙ってあたしの手を強く優しく握ってた。

何十分もずっと…。