番外編　早川なのは　



　彼と私は同じ病室、同じ日にこの世に生を受けた。



　どういうわけか、家も近所で親同士の付き合いも深く、私と彼は生まれたときからまるで、双子のように育てられた。



　それが･･･私、早川なのはと、斉藤歩が育った環境だった。



「なのは、おとなになったら、けっこんしよう。」



　その約束がいつされたのか、もう思い出すコトは出来ない。



　だけど、その言葉だけは今でもハッキリと思い出すことが出来る。



　私は歩と結婚するんだ。



　それは、当然であり、それ以外の人との結婚なんて、自分では考えることなんて出来なかった。



　だけど･･･人は成長する････････。



　それは、必ずしも良い結果につながらないことは、私たちだって分かっていたはずなんだ･･･。



「なのは、今日から一緒に登校するのやめようぜ。」



　そんな言葉が出たとき、私はショックを受けたというより、こいつ生意気にも私を意識し始めたな･･･。なんて、余裕ぶった感想を抱いていたことを覚えている。



「またまた、大人ぶっちゃって･･･。そんなに、クラスのみんなに冷やかされるのがイヤかね？」



「当たり前だろう？お前に、俺の苦労が分かるのかよ？」



「ハイハイ～。まったく、歩は可愛いんだから･･･。」



　私は、冷やかされるコトにまったく嫌気は差さなかった。



　それだけ、私は歩のことが好きだったから･･･。



　だいたい、そういうものは開き直ってしまえば、冷やかされることなんて何もないのに･･･



　まったく、お子ちゃまだなぁ～。