夏と秋の間で・乙



 それから、一週間。


 テストも無事終わり、望巳や亜紀にも本格的な夏がやってきた。



 夏休みまで残りわずかとなった7月14日の土曜日。



 望巳と亜紀は学校からたった三駅先にあると言う宝夢遊園地に来ていた。



「さすがに土曜日ともなると人が多いね・・・あ、あそこにいるの真紀と、その彼氏じゃない?」



 学校の最寄り駅からわずか三駅先にある遊園地。



 しかもテスト明けと土曜日という条件も重なれば、知っている顔の一つや二つあっても当然と言える。



 よくよく考えたら、何でこんな日にしたんだろう・・・?



「お前、何しに来たんだよ?」




「いやいや、ごめん。ついね・・・。」



 なにが、『つい』なのかよく分からないが・・・。



「とりあえず、どこから回るよ?」



 入り口にあったパンフレットを眺めながら口にする。



 実は、望巳は宝夢遊園地に行くのはこれが生まれて初めてだった。



 近場だから家族や友達で来ても良いのかもしれないが、なにかと機会がなかったのだ。



 ソレゆえ、望巳からしてみれば、宝夢遊園地にあるもの全てが新鮮で、どこから回って良いのか、見当が付かない。



 案外大きいんだな・・・ここの遊園地。



「最初は、普通ジェットコースターからじゃないの?」



「何でだよ?」



 って言うか、遊園地初体験の自分にジェットコースターとか、恐ろしいものを進めるな・・・。