「今日の二人は望巳くんも気が付いていたと思うけど、前の学校の友達と言うヤツなのですよ。」



「ソレぐらい、見てれば分かるよ。」



「うん・・・だけどさぁ~・・・世間一般でいう友達とは、ちょっと違うと言うか、なんと言うか・・・。」



「まぁ、ソレもなんとなく見ていれば分かった。」



 始終様子がおかしかった早川さん。



 まるで、麻美と呼ばれていた女の子を恐れるような、弱みを握られているような・・・そんな雰囲気がずっと漂っていた。



 ・・・・・・・・そういえば、彼女はどうして転校をしてきたのだろうか?



 このときになって、望巳は初めて疑問に思った。



「さすが、望巳くん。観察力がすごいね・・・。」



 いや、それぐらい見ていれば、誰でも予想できることなのだが・・・。



「だけど、見せ付けるためだったら、俺なんかより、速人の方がよかったんじゃないか?」



 麻美という女性と一緒に来た歩と言う名前の男性。



 自分が付いてきたとい理由があるとすれば、そこにあるのだろう。



 もちろん、推測するだけ馬鹿げていることは、重々承知していることなのだが・・・。



「あ・・・そういうわけじゃないんだ。そういうわけじゃ・・・。」



 それじゃあ・・・



「どういうわけだ?」



「う~ん・・・難しいんだけどさ、歩は厳密に言うなら元彼というほど、美しい関係ではなかったのだよ。だけど、やっぱり二人が一緒にいるところを見ているのは辛かったから・・・。」



 早川さんは、それだけ言うと顔を伏せて



「ありがとう・・・今日は、望巳くんがいてくれて助かったよ。もし、一人だけだったら、途中でおかしくなっていたと思うから・・・。」



 それは、とても小声だったが、確実に自分に届く声で、ソレこそが、自分が早川さんにデートに誘われた最大の要因だったのだろうと、自覚した。



 それから、二人は仲良くファミレスで食事をして、お互いにまったく同じ帰路に着いた。