「どうした?・・・まさか、転校生に一目ぼれでもしたんか?」



 休み時間、転校生の群れ・・・正確には転校生の群れの中の一人となっている大場に眼を奪われていると、後ろから速人が声をかけてきた。



 黒髪の短髪の垂れ目の少年。



 しかし、それ以上に185を超える身長に筋肉質の身体は、50センチ以上離れた場所に立たれていたとしても、すごい威圧感だ。



「いや、そういうわけではないけど・・・。ソレより、何か用か?」



 ごまかすために、話題をそらす。



「いや今日、これからどうする?って思ってな。」



 確かに、今日の授業は次で終わり。



 ソレが終われば、高校生にとっては貴重な『長くて自由な午後』の時間が待っている。



「どうするって言っても、金ねぇしな・・・。」



「春休み、バイトしていたんじゃなかったのかよ?」



 確かに望巳は春休み、短期でバイトをしていた。



 もちろん、学校側ではバイトを禁止しているため、非公認だ。



「親に金を返して終わった。」



 正直、痛かった・・・。



 思いっきり反抗したかったが、元々そういう条件を提示したのは自分の方からだったため、文句は言えなかった。