「そ、そっか・・・それじゃあ、俺がいつまでもこんなトコロにいてはいけないな・・・。ありがとう。バイク雑誌。それじゃあ、俺もう行くから・・・・。」



 今にも泣きそうだった。



 きわめて普通に、いつもどおりの口調を保つのがこんなにも大変だったことはない。



「うん。私の方こそありがとう。バイクに乗れて、楽しかったよ。」



 手を振り、その場を立ち去る望巳。



 とにかく早くこの場を立ち去りたかった。



 一刻も早く、そしてできるだけ遠くに・・・・・・。



 その夜。17歳になった喜びよりも、圧倒的な絶望感にさいなまれ、数年ぶりに望巳は大声で泣いた・・・・・・。