「んで、最近、彼女とはどうなのさ?」



 秋もすぎようとする、11月中旬。



 望巳と亜紀は、いつもの体育館裏にいた。



 お互いにタバコをふかして、そこに罪悪感の欠片すらない。



「彼女じゃねぇって言っているだろう?」



「ほぉ~・・・。言いますね。」



「疑うなよ。お前こそどうなんだよ?最近?」



「私は、相変わらずですよ。どこぞの馬鹿がこんな可愛い娘をふっちゃってから、何の脈もないですよ。こりゃ、高校生活は諦めるしかないね。」



 地味にいじめるな・・・。



 罪悪感が残ってないわけじゃないんだから・・・。



「諦めるには早いだろう?まだ、1年以上あるんだから・・・。」



「そうだね・・・1年あれば、アニメだったら、52話放映できるものね。」



「何だ、その基準?」



「オタクの基準でしょ?それより、時間は大丈夫なの?」



「何が?」



「今日、彼女とデートって言ってなかった?」



 ・・・・・・・・・・・あ。



「そうだ、すっかり忘れてた、って彼女じゃねぇって、何度言わせるんだ?」



「ハイハイ・・・、良いから行ってらっしゃい。」



 亜紀がタバコをくわえたまま、地面に落ちていた自分のカバンを拾い上げて、投げ渡す。



「おぅ、悪い。それじゃあ行ってくる。」



「ハイハイ。せいぜい彼女と仲良くやれよ。」



「うるせぇよ。」



 最後は否定しなかった・・・。