夏と秋の間で・乙



「・・・・・・・・・・・いや、確かにうまそうなのは分かるけど・・・。」



 炭水化物に炭水化物って・・・まるで、関西の乗りだな・・・。



「良いから、食べる。あ・・・そうだ。せっかくだから一緒に食べよう。」



 言うが早いか、亜紀は自分の分の焼きそばご飯を持ってくる。



 周りからの冷やかしも何のそのだ。



 箸と飲み物を持って、いざ体育館裏へ・・・。



「やっぱり、学園祭でもここは誰もいないね。」



 いつもの喫煙所は、たとえ人が集まる学園祭でも、人気がない。



「どうしたんだよ。お前・・・?」



 こんな行動、普段の亜紀からは考えられない行動だ。



 突然、どうしたというのだ。



「いや・・・なんとなくだよ・・・本当になんとなく・・・。」



「ハイ?お前、大丈夫か?」



「大丈夫なわけないじゃん・・・。」



 それは、小さな声。



 だけど、確実に自分に聞こえる声。



 ・・・・・・・・・・前言撤回。



 こいつは、全然元気じゃなかった。



 自分だって、失恋から立ち直るのにだいぶ時間がかかったのだ。



 それなのに、昨日の今日で原因を作った自分がノコノコと姿を現して・・・。




 どこまで、俺は無神経なのだろう・・・。