夏と秋の間で・乙



「甘いよね・・・本当に甘かったんだよ・・・。結局、私はそのせいで友達も大好きな人も失ったんだよ・・・。」



 それは・・・深く聞いちゃいけないことだと瞬時に悟った。



 だから、望巳は黙った。



 いや、正確には黙ることしか出来なかったのだ。



 こんなときにかけられる言葉なんて、たった17年しか生きてない望巳の少ないボキャブラリーに入っているはずがない・・・。



「それで、転校したんだ?」



 だから、コレは本当に無心の中で出た言葉。



 こんなこと言うつもりじゃなったのに・・・。



「・・・・・・・うん。まあね・・・。」



 しかし、早川さんはそんな言葉にも静かに返事を返す。



 もう9月の中旬だと言うのに、今夜はとても暑い。



 暦の上では秋だというのに、暑さが引くのはもっと後のように思えた。



「私、最低だよね?」



 一本目のタバコがフィルターだけになって、近くの灰皿に捨てた瞬間、不意に早川さんが声を上げた。



「え?・・・どうして?」



 意味が分からなかった。



 どうして、突然、そんな言葉が出たのか・・・。