夏と秋の間で・乙



「そんなの、町内会に言えよ。変わりにベンチがあるんだから、良いだろう?」



「そうだね。」



 早川さんが無邪気に笑う。



 それを眺めながら、望巳はタバコを取り出し、火をつける。



 一息ついて・・・。



「それで、話って?」



「うん。まぁ、たいしたことじゃないんだけどさ・・・。ちょっと昔話を聞いて欲しくて・・・。」



 昔話?



「どうして、突然?」



「なんとなくだよ・・・ただ、本当になんとなく・・・。」



「そっか・・・。」



 だったら、自分は黙って聞いていよう。



 彼女の話が終わるまで・・・。



 彼女が勇気を振り絞り終わるまで・・・・・。