「ごめんね。送ってもらっちゃって・・・。」


 三人で騒ぐだけ騒いだ夜10時。



 望巳の両親が帰ってくると同時に、試食会はお開きとなった。



 速人と亜紀の家は自分の家から見てまったくの逆方向。



 必然的に、自分が亜紀を家まで送るコトになった。



「さすがに、こんな時間に女の子を一人歩きさせるわけには行かないしな・・・。」



 ポケットからタバコを取り出して、一服。



 紫煙が風になびいて、自分の顔にかかる。



「一応、私を女の子としてみているんだ?」



 何を突然?



「いや、俺は見てないぞ。」



「何だと!」



「だって、サンマは魚の名前じゃないか?ドラ猫にくわえられて追いかけられる・・・」



「おい、コラ。」



 そんなときだった。



「あれ?望巳くん?」



 それは偶然。



 本当に偶然に彼女とであった。



「あ、早川さん。」



 ジーパンに、トレーナーというラフな恰好をしている彼女。



 右手にコンビニのロゴが入ったビニール袋をぶら下げているところから、おそらく近くのコンビニへからの帰りだろう。



 あ、ビールが入ってる。




 彼女が飲むのだろうか?