夏と秋の間で・乙



「なぁ・・・。お前たち本当に付き合ってないのか?」



 さすがに三人は乗れないので、バイクを押しながら、3人で自分の家に向かう途中、速人がギリギリ自分に聞こえるような小声で話しかけてきた。



 少し後ろには亜紀が歩いているというのに、大胆なヤツだ。



「付き合ってないよ。まだ。」



 ・・・・・・・・そう・・・まだだけど・・・。



「そっか・・・俺は別に、お前にサンマと付き合えと、無理強いはしないが、アイツが付き合うとしたらお前しかいないと思うんだよな。」



 ・・・なんだ、その言い方は?



「どういうことだよ。」



「好きな人には好きな人と一緒になって欲しいと言うことだよ。」



 ・・・・・・・・あ、こいつ、サンマのこと諦めたわけじゃなかったのか。



「それを、無理強いって言うんじゃないのかよ?」



「ちげぇよ。俺は別にお前が誰と付き合おうと構いやしないんだから・・・。それこそ早川さんであろうと・・・。」



 なんで、そこで早川さんの名前が出てくる?



「あのな・・・。」



「ねぇ、何の話してるの?」



 そりゃ、目の前で密談の一つもしていれば、興味本位で聞いてくるのは人の性。



 だけど、さすがに亜紀本人に話すわけにも行かず・・・。



「俺の部屋のエロ本の隠し場所。」



 適当なウソで誤魔化しておいた。