厳しい冬を超え、雪が溶けて桜が咲き、ニュースでもお花見の光景が一面に来るようになれば、高校も新学期の到来である。



 ここ、赤塚学園も当然、例外ではない。



(あ~、かったり・・・)



 春休み明け、20日ぶりの学校。



 無機質な木目模様の机が並べられた教室、真ん中の前から3番目の席。
斉藤望巳は、2時間目にして、既に50を超えるあくびを繰り出していた。


 
 生活指導によく目をつけられる色素の薄い短髪の髪の毛に、一見すると他人からは怖い印象を与えかねないつりあがった目を持つ、いい意味でも、悪い意味でも、何の特徴も持たない、どこにでもいる16歳、高校二年生の少年である。


 
 今日は午前中だけの4時間授業だが、その内容は全てホームルーム。



 係を決めて、班を決めて、クラス長を決めてしまえば、後は延々と担任の玄米の苦労話を聞くだけだ。



 噂によると、転校生が今日来る予定らしいが、2時間目を過ぎた今でもまだ姿を見せない・・・。



 転校初日から遅刻するなんて、まるで漫画に出てくるようなキャラだ。



 サンマにとっては、最高の餌食だろう・・・。