もそもそと、バッグの中に手を入れる。 ど、どうしよう…… “いらない” なんて言われたら…… でも、ちゃんと渡さなきゃ……! 「――あ、おいしそう」 お菓子の袋を取り出すと、りくくんが声を上げる。 どう反応していいのか、黙ったままの私に 「くれるの?」 その言葉のおかげで、 私は“あげる” その意味で、頷いたんだ。 「じゃあ、お返しに……僕はこれをあげる」 袋に入っていた紙袋の中から、 シェイクを取り出して 私の空いた右手に、それを持たせてくれた。