少女王子さま 〜田舎娘に小鳥のワルツを〜


休憩の時に少年が呟いた、王子兄弟二人があまり会えない、という気になる言葉の真相は、ふとした時に知ることになった。


「………あっ!歴史の本、忘れてきちゃった………。」

少年とのダンスの奮闘が終わった夕方。
数々の傷を(主にリュカに)残してルイスの自室へ戻ってきていたミミは、練習をしていた広間に忘れ物をしていたことに気が付いた。

「あら、わたくしが行ってきますわミミ様。丁度あちらに用がありますし。」

お茶の準備をしていたコレットにそう言われ、少女は慌てたように手を振る。

「えっ、え、いいですよ!明日また取りに行けば、」

「いいえ、式典まで時間がありませんもの!勉強に早いに越したことはありませんし…すぐ戻って参りますので。」

でも、と食い下がろうとした時にはコレットは扉に手をかけていて、ミミはいつのまに移動したのかと目を見開いた。

どちらにしてもミミに行かせる気ははないらしい。

「う…、ありがとございます。」

「いいえ、ミミ様はゆっくり休まれていてくださいな。」

そう言って部屋を出ていったコレットを申し訳なく思いながら見送った後、お茶を飲んでぼうっとしていた少女は、暫くするともじもじと足を動かせた。

もともとじっと出来ない性質である。
何かして待っていようかなと、きょろきょろと部屋を見るが、ここは第二王子ルイスの部屋なのだ。
村でやっていたように、掃除や洗濯、ご飯を作るわけにはいかない。

あるものといえば、ーーー……。

改めて部屋を見渡して、目についたものを見つめて、少女は腰を上げた。