少女王子さま 〜田舎娘に小鳥のワルツを〜

「今そういうのはいい!ただ王子と呼ぶなって言ってんだよ!」

「言ってる意味が分かんないよ〜」

「名前で呼べって言ってんだ!」

「えっ王子のことを!?」

「いいから!…間違っても君とか様とかつけるなよ。」

「ええ〜、じゃあ…………」

ミミは力いっぱいうーんと唸ってから、顔をあげた。

「わかった…リュカ!」

「リュシリカだ!おまえまだ覚えてないのかよっ?」

「えっ覚えたよ!でも王子、名前言いにくいんだもん。呼ぶ度に、リュりし〜って舌噛んじゃうよ。」

「そのくらい面倒くさがるな!」

「う~…」

さっきから怒られてばっかりだ。
むむうとねめつけた後、少女はずっと思ってたことを思い出した。

「王子だって、あたしのことおまえってしか言わないじゃん!?」

「えっ?」

「あたしだって、ちゃんと名前で呼んで欲しい。」

「…………っ」

ほっぺを膨らませた少女に真っ直ぐ見つめられて、少年はこれ以上ないくらいにうろたえた。
まさか反撃が来るとは思ってなかったのだ。