少女王子さま 〜田舎娘に小鳥のワルツを〜


「――………、…これは?」

ものすごい本のタワーに見えるのは、気のせいだろうか。

ミミがゆっくりと上目遣いで見ると、少年は淡々と答えてくる。

「やる気が出たんだろ?それは式典まで必要なことが載ってる本だ。明日までに全部読んでおけよ。」

ぎょっとして少年を見る。
この量でびっくりしたのに期限が明日まで!?

(ありえない!何言ってんのっ?)

「これ軽く見ても30冊はあるんだけどー―!?」

「正確に言えば32冊だ。じゃあ後は頑張れよ。」

そう言ってまた部屋から出ていこうとする少年に、ミミは負けじと食い下がる。

「待ってよあたし文字なんてよく読めないのに!こんな分厚い本ばっかり!」

「…少しは読めるってことだろ。コレットに教えてもらいながら頑張れよ。」

少年はそれだけ言って今度こそ部屋から出ていってしまった。

残されたミミは閉められた扉を見て茫然とする。

「………………そんな。」

たった今出てきたばかりのやる気が、さっそく崩れ落ちた瞬間だった。