ぱから、ぱから、馬の走る音が森に響く。

あきらめた。
もうあきらめた。
くそう、あの時少しでもかっこいいなと見とれてしまった自分を恨んでやる…。

「……碧の騎士は英雄だなんて、うそっぱちだあ……。」

腕の中からぽつりと聞こえた言葉に、少年はまさか、という思いで呟いた。

「…言っとくけど」

「なに?」

「俺は、碧騎士じゃないからな。」

「えっ?」

だって制服着てるじゃない、と言う声に、少年は呆れまじりのため息をつく。

「……リュシリカ・アラン・ペルティエ。」

「え?」

急に呪文のようなものを言われて、ミミは意味が分からず聞き返した。

「俺の名前だよ。リュシリカ・アラン・ペルティエ」

「ペル……」

少年の言おうとする事にやっとのこと気付いて、少女は目をまんまるにする。