ミミが黙ったのに気づいたリュカは、表情を改め、今度は強い視線を向けてきた。
「…………ルイスを見つけたら、聞いてみるよ。俺と母上のこと、どう思っているのか。」
「……………え、」
「ミミが言った通りだ。もう会えなくなってしまえば、一生聞けないで終わってしまう……気付かせてくれてありがとう。まずは俺達から、変わらないと。」
「……………………。」
届いたのか。
この少年は、こんな田舎娘の言葉を、聞いてくれたのか。
信じられなくてぽかんとしていると、少年が立ち上がった。
「戻ろう。コレット達が探している。」
そうして手を差しのばしてくれる。
ーーこの手をとっても良いのだろうか。
私は、後悔しないか?
恐る恐る指先をのせれば、ぐいっと立ち上がらせられた。
「それと、今頃エドは、自分も迷子になってるぞ。」
「……えっ?」
「極度の方向音痴だと言っただろう、あいつは。」
まるでいたずらっ子のような少年の顔に、先程までの様子が信じられなくて、ミミはつい噴き出してしまった。
「………リュカって大人なのか子供なのか分からないわね。」
「…どういう意味だよ?」
首を傾げながらも少年は、少女の手をしっかり繋いだまま歩き出す。
「何でもないわ。成人の儀、がんばろうね。」
「……?ああ。でもそれにはミミがあの本を全部読んでしまわないといけないな。」
「あああーー、嫌なこと思い出させないでよ!」
「もう逃げないんだろ。危険には俺達がさせないから、必ず守るから、お前は安心して勉強に集中してろ。」
「うう………うん、ありがとう。」
ぎゅっと握ればぎゅっと握り返してくれる。
その以外と逞しい腕にミミは、帰りの暗闇は、もう全く怖くないだろうと、安心して委ねることにした。

