少女王子さま 〜田舎娘に小鳥のワルツを〜


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「………………ごめんなさい。」

「………ああ。」

おばけの正体が自分を探しにきたリュカだと知ったミミは、少年に連れられて、月明かりの照らす庭園に出てきた。

とりあえずあごの強打を謝るべく、ミミは深く深く頭を下げる。

出会ってからの少年に対しての行いは、許されざるものだろう。

「……俺も悪かった。」

遂に捕まるか!と覚悟していたミミは、少年のバツの悪そうな声に顔をあげた。

「………え」

「俺も実際、ルイスに対して壁をつくっていたと思う。」

その言葉が先程部屋で自分が言ったものだと気付き、ミミは慌てて口をはさんだ。

「そ、それは違うの、あたし何も知らないのに…ごめんなさい。」

「いやいい、実際そうだったんだ。会おうと思えば隠れてでも会えたのに、そうしなかった。」

そう言って少年はミミの横にしゃがみこんだ。
それをぼうっと眺めながら、ミミは言葉を紡ぐ。

「でもそれは、ルイス王子を守るためなんでしょう?」

「………それもある…けど、」

「それに、大事に思ってない人を、ピーシランクまで探しに来たりしないよ。」

言いながら少年の隣に座ると、観念したような、少しだけ困ったような様子で此方をちらりと見てきた。

「大事には思ってる…たった一人の兄弟だ。」

「……うん。」

「……こんな問題に巻き込んでしまって、申し訳なく思ってる。でも、身代わりを立ててでも、成人の儀だけは必ず成功させなくちゃいけないんだ。」

成人の儀に出ないということは、王政に関わるのを放棄するということだ。
ルイス王子の失脚を狙っている者達にとっては、大チャンスである。

「………分かった。あたしも出来るだけ頑張るし、もう逃げないわ。」

ミミの言葉に少年は目を伏せた。
こんな時だけれど、少年の金色の睫毛が綺麗だと思った。

「……本当はもっと早くに解決するべきだったのに。」

初めて聞く少年の弱ったような声に、ミミは目を見開いた。
そうか、王子とはいっても、実際はまだ17歳の少年なのだ。