少女王子さま 〜田舎娘に小鳥のワルツを〜


ぽん、と肩に何かが乗ったのはミミが闇雲に歩きだそうとした時だった。

「…………………、え?」

一瞬気のせいかと思ったけれど、気づけば、はー、はー、と荒い息づかいがすぐ後ろから聞こえてくる。

(……………うそ、)

顔がひきつりながら、恐る恐る、ものすごくゆっくりと後ろを見れば、ぼやっと光る金色の何かと、碧色の光が二つ、此方を見つめていた。

「っ……………ひえええっ!?」

「うわっ」

「ぎゃあああああ」

「あっおい逃げるなばか!」

静止の声に耳を向けず、ミミは一目散に走り出した。

おばけか変態か!?
おばけか変態かっ…………!?
考えて考えてミミは結論にたどり着いた。

「いやああああ、おばけの変態いいいいい!」

「何だとっ………?おいこのくそちび…………ミミ!」

「いやあああ来ないでえええ」

「お前まだ目が慣れてないんだから、どっかぶつかる…」

「ぶぐえっ!」

案の定壁に激突したミミは、後ろに倒れこんだ。
ものすごく勢いよくぶつかったので、鼻がめちゃくちゃ痛い。

「……う…はにゃが、はにゃが……」

折れてはない、たぶん。
でもすごくすごく痛い!

「……本気の阿呆かお前…。」

呆れたような声が上から聞こえてきて、ミミははっと目を見開いた。

鼻どころじゃない!
今は変態おばけから逃げなくてはいけないのだ!

「どうああ!」

勢いよく起き上がれば、こちらを覗きこもうとしていた何かと頭がぶつかった。

「ぐおっ」

「えっごめんなさい……って、何でおばけなのにぶつかるの!?」

「誰がおばけだ!よく見ろ!」

そう言われて、さっきまでは混乱していて分からなかったけど、この声は何だか聞いたことがあると気付いた。

「………んん?」

眉を寄せながら、目をこらす。
そしてだんだん闇に慣れてきた少女の目にうつったのは、これ程までにないしかめっ面で、あごを抑えているリュカだった。