少女王子さま 〜田舎娘に小鳥のワルツを〜


「いや…なんでもない、」

ちらと床を見れば、落ちた雫がきらりと光っていた。

「…間違っていたのかな、俺は。」

ーーどこかで、ルイスは自分を恨んでるはずだと決めつけて。
少女が言うように、こちらからルイスに壁をつくっていたのだろうか。

「……ばっかじゃないの、かあ。」

「はい?」

エドゥアールが不思議そうに首を傾げる。
少年は今部屋を出ていった少女を思い出して苦笑した。

ばっかじゃないのと言いながら、少女は泣いていた。
会えるのに会わないのが理解出来ないと。
気が強いだけの田舎ばかだと思っていたのに、彼女は実際いろいろと溜め込んできたのかもしれない。

「…………ああもうくそ!もやもやする!頼むから引き留めてろ、コレット!」

そう叫んで少年は、自分も少女を追いかけるべく扉に手をかけた。

泣かせてしまったのは自分。
ここに無理やり連れてきたのも自分だ。

「えっえっ、お出かけですか?殿下」

慌てるエドゥアールを置いて少年は走り出す。

「おまえも見つけろエド!…あいつはまだすぐに迷子になるだろうから!」

(……これはあれだ、あいつが迷子になってるだろうから探すだけだ、別に泣き顔を見てこれ以上泣かせたくないとか思ったわけじゃない!)

誰に言うわけでもないが、心のなかで言い訳しながら。