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「その側妃というのが、ソフィー様…ルイス王子の母君でございます。」
「ルイス王子の…?」
ミミは、長椅子の向かい側に座るコレットを不思議そうに見上げた。
コレットがついでくれた紅茶はもう冷えてしまっているだろうけど、ミミはそれさえも気がつかずに話を聞いている。
「はい。リュシリカ王子は、正妃マリア様のお子様です。なのでリュシリカ王子とルイス王子は、異母兄弟となるのです。」
「そうなんだ…ごめんなさい、何にも知らなくって。」
「いいえ、私達が早くに言っておくべきでしたわ。」
田舎育ちのための無知さに少女は肩を落としたが、かえってコレットが眉を下げる。
「………それで、そのソフィー様は、見つかったの?」
「いいえ、未だに何も掴めずにいます。おかしな事に…当時、ソフィー様の寝室には抵抗した痕跡がなかったのです。なので一部の者では、ソフィー様ご自身で出ていかれたとも。」
「えっ…何のために?」
「今回の事件はソフィー様が仕組んで刺客を放ち、失敗した為逃げたのだと囁かれだしました。しかし痕跡がないのは逆に有能な刺客だったからという可能性もあります。しかし…ここからが重要なのですが、ソフィー様を慕っていた者たちからは、逆に正妃マリア様が仕組んだ事だと言い出されてしまったのです。」
「…はっ?何でそうなるんですか!?」
「元々マリア様とソフィー様は正妃と側室という微妙な立場ではありましたが、とても仲が良かったと聞いております。しかしそれが、一部の者たちには良く思われてなかったみたいで。」
「どうして?」
少女の先程から全く邪気のない質問に、コレットの無意識に強張っていた頬が緩んだ。
これほどまでに人間の暗い部分を知らない人物を見たのは初めてである。
それほどこの少女は大切に育てられてきたのだろう。

