「なんでわたしがこんな目に……?」
少女がそう呟くと、後ろで少女の髪をいじっていた侍女が、少しだけ怒ったような仕草をして鏡越しに目を覗いてきた。
「あ!だーめですよ、ミミ様。『私』なんて使っては!」
ゆっくりと子供に教えてあげるように、侍女は言葉を選びながら手を動かす。
「ルイス王子はいっつも『僕』と仰ってましたわ。」
年は少女とあまり変わらないはずなのだけど、この侍女は何故かとても年上のような感じだった。
少女が決して持ち得ない、大人な雰囲気だ。
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