「実冬ちゃん…透に…会ってやろう…?」
「………っ!!」
そう言って私を抱きかかえようとする温もりにある事実を思い出して、鳥肌が立った。
「…実冬ちゃん…?」
温もり…
ついさっきまで自分が直に感じていた温もりが、フラッシュバックのように甦る。
―俺の名前は響だよ―
「…………」
「実冬ちゃん!?」
倒れかけた身体を抱きとめられる。
そうだ…
私は…さっきまで何処にいた…?
何してた…?
―実冬?あぁ、だからこんなに肌が白いのか―
自分の身体が、一気に汚れた気がした。
私は…私は……
気持ち悪い程に甦る、「響」の感触。
吐息も
声も
信じられないくらいに綺麗に甦る。
「い…いやぁ……っ」
私は涙を流しながら、耳を塞ぐ。
けれど、
塞いでも塞いでも聞こえてくる。
―実冬―
透じゃない…男の声が…
「い…やぁ……やぁ…っ」
「実冬ちゃん!落ち着いて!!」
髪を振り乱して、「響」の声を振り払おうとする。
「やめてぇ!呼ばないでっ…呼ばないでぇ…!!」
どんなに拒絶しても、まるでそこにいるかのように「響」の声が耳を這う。
「実冬ちゃん!しっかりするんだ!!」
「いやぁっ…いやぁぁーっ!!」
―実冬―
こんなに振り払っても、どうして「響」が頭の中で私を呼ぶのか分かっていた。
本当は、ちゃんと分かっていた。
「あたしが……っ!!あたしが透を殺したのぉぉっ…!!」


