目の前には、箒にまたがって空に浮かんでいる男。


「…ほ…ほんとに飛べるんだ。」

「信じてもらえました?魔法使いだって。」

「じゃ、じゃあ、魔法も使って見せてよ。」

「いいですよ。簡単な魔法でいいですね?んー、では、花をだします。」

アキトは、前に手を広げ、目を見開いた。

ポンッ

アキトの手の上には、溢れんばかりの花が詰まった花束が一つ。

「これ、あなたにあげます。」

「あ…どうも。」

「魔法って呪文とか唱えるものだと思ってた…。」

「これぐらいは、簡単な魔法なので呪文なしでいけるんですよ。」