女子DEATHヒーロー

 あたしは何故かソファーに座っていた。机を挟んだ向こう側のソファーにはオレンジヤンキーの葉月哉がいる。
 何でこんな状況になったかって?あたしにも分かんない!

「おい」
「はぃっ!」
 葉月センパイに鋭く睨まれた表情で言われ、あたしは思わずビクついた。
 あれ?あたしってこんなにチキンハートだったっけ?変装したからその性格になりきろうと思ってこんなチキンになったのかな。
 戦場という名の喧嘩から離れてた時間が長かったからかも。
「別に素人を殴ったりねぇよ」
 過剰反応したあたしを見て、すぐに顔を背ける葉月センパイ。
 あたし、素人じゃないしー!
 別にいいんだけどね、普通は女には手を出さないって言わない?あたしはそうだった。
 あたしも女だけど、女の子向けの喧嘩は出来ない。だって……あたしの拳は女子には重すぎる☆
 それに、女の子を殴っちゃいけない。ひっぱたいてもいけない。後悔するから。

 あたしの周りであたしが一番紳士だったと思う。拓兄は絶対違うし、燿兄は変人だし、央太は……女の子に実は慣れてないから不器用だもん。

「……ははは」

 あたしはただ笑うしかできなかった。
 葉月センパイって……よく分からない感じだよね。

「……」
「……」

 沈黙。

 非常に気まずい。あたし帰る。意を決して帰ってみせる!
 立ち上がろうとすると、葉月センパイが口を開いた。

「お前暗い奴だな」
 そう一言呟くと、あたしを真っ直ぐ見る。
 ストレートできたか……。
 あたしは演じてるから別に言われてもいいけど、ストレートすぎる。
 あたしじゃなかったらショック受けてるよ。デリカシーが意外と無いらしい。

 そんなこと考えてたあたしは、次の言葉を聞いて思考が一瞬停止した。

「あやしいくらいな」


 ……感よすぎるじゃん、この人!喧嘩で培われた感?野生の感って感じ?

 あたし、何か疑われてる……?
 冷や汗ダラダラのあたしと、そんなあたしを睨むように見る葉月センパイ。
 あの目つきは……元々なんだろうなぁ。って考える内容を変えて、現実逃避してみた。

「まぁいいけど。……お前はどっちにつくんだ?」
 葉月センパイはソファーの背もたれに偉そうにもたれて言った。