女子DEATHヒーロー

 そのとき、あたしの願いが通じたのか誰かがこっちに来る音がした。

 セ、セーフ!神様、ありがとう!

 ってダメじゃん!カツラ!ヅラがない!
 拓兄はあたしの上から退くと(いつの間にか拓兄があたしの上にちょっと乗ってる感じだった)、上着を脱いであたしに投げた。

「え?ちょ……」
「それでも被っとけ」

 ウィッグが無くなってるし……これしかないか。……でも、おかしくない?
 拓兄のたまにある優しさを素直に喜べないあたし。だっておかしいし。バレないだけいっか。

 ありがとう、拓兄ー!

「あれ、新任の鈴木先生」
 やってきたのは背の高い、カッコイい薄い茶の髪の人だった。
 何でこんなところに人が?

 誰?

「お前は……生徒会長か」

 ええ!?まさかの生徒会長?やっぱり生徒会長はカッコイいのか……。
 にしても……この人いい人なのかなぁ?胡散臭い感じがする……。初対面の人に失礼かもしれないけど、なんかね。

「何かあったんですか?」
「別に?」
 生徒会長の言葉にしれっと答える拓兄。この状況で何にも無かったら、何かあっても何にも無いんじゃないかと思う。

 これは……また空気にならなきゃいけない感じ?
「そこの子はどうしたんですか?」

 空気になれませんでした。

「あー……あいつはちょっとな」
「ちょっと、ですか」
「分かるだろ?」

 私には分からないけど!
 拓兄の妖しい笑いが気になります。
「生徒に手を出すのはほどほどにしてくださいね」
「お前の取り分が減るしな」

 ん?手を出すってなに?ちょ、情事の後または前みたいな!?
 いつの間にかあたしのネクタイが外れてるし!
 あたしは近くに落ちてるネクタイを慌てて拾った。

 生徒会長はあたしをみて薄く笑うと、あたしたちに背を向けた。

「別にそんなにいりませんよ」
 生徒会長はそう言って、去っていった。

 カッコイい去り方したよ……生徒会長。