O.S.C

「もちろん! はい、コレをどうぞ。父からです」

リンはそう言って、大事そうに抱えていた物を私に差し出した。

私は受け取り、表面の紙を丁寧に外して、中身を確認した。

―丸い鏡―

一転の曇りもない、美しい鏡だ。

手のひらサイズで、装飾は銀。派手ではないものの、細かくて、キレイだ。

そして―強い力が込められている。

「…確かに、注文通りだな」

「ええ。おかげで父は疲れて、眠っちゃいました」

困ったというように、リンは肩を竦めた。

彼女は私の学校の後輩だった。

でもコムラに恋をし、そしてこの山神の子孫であることから、学校を転校し、ここへ引っ越した。