満ち足りない月





ラルウィルは驚いたように目を見開いてセシルを見ていた。


セシルはすぐにはっとした。

「あっいや何でもないわ。ごめんなさい、変な事言って」


「いや……」

ラルウィルは目をそらした。


少しひんやりとした空気が漂い始めた。


またやってしまった……
絶対変な奴だって思われたわ。


セシルは後悔を感じながら、ちらっと横目で視線を変えると、慌てて話をそらした。


「ね、ねえ。この絵に写ってる屋敷ってここよね?」

セシルは目の前にあった絵を指差した。