「とにかくだな、雑巾掛けってのはこんなにびしょびしょにしちゃいけないんだよ」 ラルウィルは階段を降りてきながら言った。 「どうしてよ?綺麗になったじゃな――キャッ」 セシルは足を滑らせた。 しかし短い悲鳴の後、風が空を切った。 階段の側にあった花瓶の花が揺れる。 「こういう事になるからだよ」 ラルウィルはセシルの肩を抱きかかえながらにこっと笑った。