思い出したように、彼が私に聞いた。


「んで、及川さんはどうして学校戻ってきたん??」


「お弁当箱…持って帰るの忘れちゃって…」


私は少し恥ずかしくて、ぼそぼそとした声で話してしまった。

でも彼は、なんでもない風に笑って応えてくれる。


「あ~やるよな、たまに!!

 俺もこの前忘れたんだよ~」





彼との会話は、すごく心地がいいって、やっぱり思った。


「藤原君は…部活だったんだよね?…草むしりもするの?」


なんとなく、気になったので聞いて見ると、彼の肩が少し揺れた。


「いやぁ~、なんていうか、ちょっと色々あって…」


いつになく歯切れの悪い彼に少し違和感を感じて、心配になった。



「え…まさか…いじめとか…じゃないよね…!?」


自分の身体が震えているのを感じる。


また私のせいだったら………


そんな考えが頭をよぎって、足先に強く力が入った。



どうしよう…


どうしたら…


やっぱり私のせいで…



俯いた私の足元に、抑えきれない涙がポツリポツリと落ちていった。







ふわっ





ふいに、身体が温かいもので包まれた……………