あたしのその一言でライブハウス内は静かになってしまった…

「捨てた…?」

望は眉を寄せて聞いてきた

「うん。家の家賃とかお金はカオリって人とタクミって人が銀行に振り込んでくれてるの」

「その2人は両親ぢゃないのか?」

「調べたけどそんな人いなかった」

「そっか…」

望は悲しい顔をした

どうせ望もあたしに同情してるんでしょ?

この話しをする時決まってみんなが「悲しくないのか?」って聞いてくるけど一度もそんなことを思ったことがない

両親の顔を知らない

生きてるのか死んでるのかさえわからない

あたしが13になるまで育ててくれた人さえいなくなった

大好きだったあの人もあたしの前からいなくなった

家族なんて言える人、あたしにはいない