頬に伝わる小野君の熱があたしの体中を熱くする。 こんなに近くで小野君に見つめられたことも、小野君を見つめたこともない。 少しでも動けば、唇が触れ合ってしまいそうな距離。 今まで知らなかった目の上の傷も、茶色く透き通った瞳も、小野君の全てに胸を高鳴らせている自分がいる。 舞子が言っていた「タイミング」は今かもしれない。 そう考える間もなく、 「……キス」 あたしはポツリと呟いていた。 「なんだよ」 「小野君とキスしたい」 唐突にそう言い放つあたしに小野君は顔色一つ変えなかった。