王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~


「まぁ、会わせたくないっていう壱星の気持ちも分かるけどさ。アユちゃんって可愛いもんね」


「とにかく、俺はこいつを連れていかないから。先輩にもそう伝えといてくれ」


「了解。アユちゃんに誰かがちょっかい出したら、壱星ブチ切れそうだしな?」


「キレるだけで済んだらいいけどな。だから俺は予防線を張っておく」


「さすが、壱星。賢いわ」



小野君はあたしに誰かがちょっかいを出したら、キレてくれるの?


予防線って何?


誰かがちょっかいを出すかもしれないから、あたしをみんなに会わせないってこと?



……何だかサッパリ分からない。



会話についていけずにボンヤリと二人を眺める。


すると、突然男の子がポツリと呟いた。



「アユちゃんは壱星に愛されてるな」


「へ?」


思わず首を傾げると、男の子はあたしの耳にそっと手を当ててボソッと小声で囁いた。



「アユちゃんの話する時の壱星、すごい嬉しそうなんだよ?デレデレしてて気持ち悪いったら……――」


「おい、めんどくせぇから余計なこと言うな。早くこいつから離れろ」


「はいはい、分かりましたよ!!」


小野君に腕を掴まれた男の子は「末長くお幸せに!!」そう言って逃げるように走り去った。